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国際的な取り組み 更新日:2024.04.03

地球温暖化や海洋酸性化、海洋生態系の喪失など、海洋や地球を取り巻く世界規模の様々な課題は一国だけで対応できるものではありません。海洋や地球を対象とする研究開発も、その広大で複雑な対象を一機関だけで進めることはできず、国際的な協力・連携のもと、研究開発を進めていくことが前提となります。
JAMSTECは日本の海洋科学技術の中核を担う国立研究開発法人として、国内外の研究機関や大学、産業界と連携して研究及び技術開発を行い、地球規模課題の解決に貢献しています。研究成果から得られた海洋・地球・生命に関する科学的知見や地球環境情報を社会へ発信し、持続可能な未来の構築へとつなげていきます。

海外研究機関との協力

22の海外研究機関と覚書を締結し、グローバルな連携・協力を推進しています。

国内外連携

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多国間枠組みによる国際協力への貢献

ユネスコ政府間海洋学委員会(IOC

IOCは加盟国の協力によって海洋環境及び資源に関する知識を増強するために科学的調査を推進することを目的として、1960年に設立されました。海洋に関する科学的調査及び研究活動の国際協力の推進に関する唯一の国連機関です。IOCは海洋観測・調査、海洋データの収集管理及び交換、津波早期警戒システムの構築、教育訓練、地域協力などに取り組んでいます。
JAMSTECはIOCが推進している国際的な海洋観測・研究プログラムや関連プロジェクトへ参加しています。また、JAMSTEC研究者がIOC西太平洋小委員会(WESTPAC)議長として地域の海洋科学技術や国際連携推進をリードしているほか、IOC事務局(パリ)へ職員を派遣してIOC運営を支援しています。
国内では、JAMSTECが事務局となり、IOCにおける様々な検討課題に対しての国内意見等の取りまとめを行う国内委員会・専門部会の運営等を通じて、IOC活動推進に協力しています。

気候変動に関する政府間パネル(IPCC※1

研究者を推薦して評価報告書の作成に貢献しています。

※1

気候変動に関する政府間パネル(IPCC: Intergovernmental Panel on Climate Change): 人為起源による気候変化、影響、適応よ呼び緩和方策に関して、科学的、社会経済的な見地から包括的な評価を行うことを目的として、1988年に世界気象機関(WMO)と国連環境計画(UNEP)により設立された組織。

国連気候変動枠組条約(UNFCCC※2

気候変動がもたらす地球規模の課題解決に貢献するため、国際的なフレームワークを通して研究成果を積極的に発信しています。

※2

国連気候変動枠組条約(UNFCCC): 1992年5月に採択され、大気中の温室効果ガス(二酸化炭素、メタンなど)の濃度を安定化させることを目指して、1995年から気候変動枠組条約締約国会議(COP)が毎年開催されている。

地球観測に関する政府間会合(GEO

海洋、気候、生物多様性、地震等の現場観測と観測データ・科学的情報の公開を通じて、GEOが推進する全球地球観測システムGEOSS※3の構築に貢献しています。

※3

全球地球観測システム(GEOSS: Global Earth Observation System of Systems): 100カ国以上が参加する「地球観測に関する政府間会合(GEO)」が推進している包括的な観測システムで、全世界の地球観測データを統合し、気候変動対策等の地球規模課題への政策決定に活用することを目指す国際的枠組み。

海洋の未来に関するイニシアティブ(G7 FSOI※4

G7科学技術大臣会合下の「海洋の未来イニシアティブ」WGに参加し、今後重点的に取り組むべき北極研究、海洋のデジタルツインの構築、全球海洋観測の維持・強化等の課題に関する議論をリードしています。

※4

海洋の未来に関するイニシアチブ(G7 FSOI): G7科学技術大臣会合の下に設置された、海洋科学に関係する様々な課題を議論するためのワーキンググループ。

国連海洋科学の10年(Ocean Decade※5

2017年国連総会で決議された「持続可能な開発のための国連海洋科学の10年」(2021-2030)の実施に積極的に参画し、海洋科学の発展と持続可能な海洋管理に貢献しています。
国連持続可能な開発目標(SDGs)、特に目標13(気候変動に具体的な対策を)や目標14(海の豊かさを守ろう)の達成に貢献しています。

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※5

国連海洋科学の10年(Ocean Decade): UNESCO政府間海洋学委員会(IOC)により提案され、2017年の第29回IOC総会で2021年から2030年までの期間について「持続可能な開発のための国連海洋科学の10年」の宣言が採択された。

  

北極評議会(AC※6

日本がオブザーバーとして参加しているACの諸活動に対し、北極域における環境の変化の現状やその将来予測など科学的知見の提供を通じて貢献しています。

※6

北極評議会(AC:Arctic Council): 持続可能な開発、環境保護など北極圏に係る共通の課題に関して、先住民社会等の関与を得つつ、北極圏諸国間の協力・調和・交流を促進することを目的として、「オタワ宣言」(1996年9月19日)に基づき、ハイレベルの政府間協議体として設立された。閣僚会合、副大臣会合、高級北極実務者会合、分野別作業部会などの各種会合が開催される。

その他国際プロジェクトの推進

国際深海科学掘削計画(IODP※7

地球深部探査船「ちきゅう」を運用し、国際的な海洋掘削科学の発展を主導しています。
また高知大学と連携・協力し、掘削コア試料の保管・管理、提供等を行っています。さらに、日本地球掘削科学コンソーシアム(J-DESC)を通じて国内の研究者に対してIODP・国際陸上科学掘削計画(ICDP)への参画に向けた支援等を行い、研究者コミュニティを牽引しています。

※7

国際深海科学掘削計画(IODP: International Ocean Discovery Program): 日米欧主導により2013年10月から始動した多国間国際協力プロジェクト。
日本の地球深部探査船「ちきゅう」(約57,000t、JAMSTECが所有・運用)と米国が提供するジョイデスレゾリューション号、欧州が提供する特定任務掘削船(MSP)の複数の掘削船によって深海底を掘削することにより、地球環境変動、地球内部構造及び地殻内生物圏の解明を目的とした研究を実施。2024年9月末に終了予定。

アルゴ計画

世界気象機関(WMO)、ユネスコ政府間海洋学委員会(IOC)等の国際機関および 各国の関係諸機関の協力のもと、全世界の海洋の状況をリアルタイムで監視・把握するシステムを構築する国際科学プロジェクトです。日本では、外務省文部科学省(実施機関:海洋研究開発機構)、水産庁国土交通省気象庁海上保安庁が協力してアルゴ計画を推進しています。

GO-SHIP

1990年代に実施された世界海洋循環実験計画(World Ocean Circulation Experiment; WOCE)を引き継ぎ、その観測線に沿った高精度な観測を約10年間隔で繰り返し実施することにより10年規模の長期の変化を観測することを目的とした、船舶観測の国際的なプログラム。日本からは気象庁と文部科学省(実施機関:海洋研究開発機構)が参加している。

One Ocean Network for Deep Observation

JAMSTECはフランスの国立海洋開発研究所(IFREMER)が主導する国際深海観測プロジェクト「One Ocean Network for Deep Observation(OneDeepOcean)」に参加しています。2023年5月4日~8日にはIFREMER所属の研究船「Antea」によるニューカレドニア沖、珊瑚海での調査航海「KASEAOPE-1」を実施しました。
JAMSTECは海底観測装置「江戸っ子1号」や開発した環境DNAサンプラーなどの観測機器を活用し、観測期間中の季節変動のモニタリングや動物相の調査を行っています。これら海中観測システムにより得られる貴重な観測データは、ニューカレドニアの地域コミュニティーに提供されます。
なおこのプロジェクトは国連海洋科学の10年に貢献するプロジェクトとして位置づけられています。

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持続可能な海洋に向けて

現在、海洋は、気候変動に伴う海水温や海面上昇、海洋酸性化、海洋プラスチックや生物多様性の喪失といった様々な世界規模の課題に直面しています。
「国連海洋科学の10年」は、「私たちが望む海に必要な科学」を標語とし、科学者のための海洋科学ではなく、様々なステークホルダーも参画して、自分たちが望む海を作り、守っていくための海洋科学をともに推進する取り組みを進めています。
JAMSTECもこのキャンペーン下で実施されるさまざまなプログラムやプロジェクトに参加・主導し、将来にわたって持続可能な海洋を築くために貢献しています。