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プレスリリース

2018年 1月 4日
国立研究開発法人海洋研究開発機構

国際深海科学掘削計画(IODP)第374次研究航海の開始について
~ロス海における西南極氷床変動史~

国際深海科学掘削計画(IODP: International Ocean Discovery Program)(※1)の一環として、「ロス海における西南極氷床変動史」調査(別紙参照)を実施するため、米国が提供するジョイデス・レゾリューション号(※2)の研究航海が1月4日から開始されます。

本研究航海では、南極海の太平洋側に位置するロス海の大陸棚や大陸斜面基部のゆるやかな斜面において6地点(図1)を掘削し、採取された堆積物コアの地質学的、堆積学的、地球化学的研究を行うことで、新第三紀から第四紀(約2,303万年前から現在)を通じた気候・海洋変動と西南極氷床の発達や退縮との関連性を解明することを目的としています。

この研究航海には日本、米国、欧州、ニュージーランド、ブラジル、韓国、インド、中国から計30名の研究者が乗船し、うち日本からは3名が参加予定です。

※1 国際深海科学掘削計画(IODP: International Ocean Discovery Program)

平成25年(2013年)10月から開始された多国間科学研究協力プロジェクト。日本(地球深部探査船「ちきゅう」)、アメリカ(ジョイデス・レゾリューション号)、ヨーロッパ(特定任務掘削船)がそれぞれ提供する掘削船を用いて深海底を掘削することにより、地球環境変動、地球内部構造、地殻内生命圏等の解明を目的とした研究を行っている。


JOIDES Resolution ©IODP

※2 ジョイデス・レゾリューション号

IODPの科学掘削に米国が提供する掘削船。日本が提供する地球深部探査船「ちきゅう」と比べて浅部の掘削を多数行う役割を担う。

別紙

ロス海における西南極氷床変動史

Ross Sea West Antarctic Ice Sheet History
Ocean–ice sheet interactions and West Antarctic Ice Sheet vulnerability: clues from the
Neogene and Quaternary record of the outer Ross Sea continental margin

1.日程(現地時間)

  第374次研究航海

平成30年1月4日
研究航海開始(首席研究者が乗船)
平成30年1月5日
日本からの研究者がニュージーランドのリトルトンにて乗船(数日の準備の後出港)
ロス海東部において掘削
平成30年3月8日
ニュージーランドのリトルトンに入港

なお、航海準備状況、気象条件や調査の進捗状況等によって変更の場合があります。

2.日本から参加する研究者(氏名50音順)

氏名 所属/役職 担当研究分野
石野 沙季 名古屋大学/大学院生(修士課程) 堆積学
杉崎 彩子 産業技術総合研究所/研究員 古地磁気学
関 (おさむ) 北海道大学/准教授 有機地球化学

3.研究の背景・目的

南極氷床の氷の量は世界中の淡水の6割以上を占めており、氷が全て融解すると世界の海面を60m弱上昇させるといわれています。温暖化に直面している現在、西半球側の南極氷床(西南極氷床)については、氷床の流出が進み、氷床量が減少していると報告されています。西南極氷床は、融解する氷床を支えることのできる巨大な陸地がないため気候変動の影響を受けやすく、特に今回掘削が行われるロス海はこの西南極氷床の主な流出経路であり、過去から現在にかけて海洋熱フラックス(熱の輸送)と海水準変動に敏感に応答してきたことが知られています。

本航海の主要目的は、新第三紀~第四紀を通じた気候・海洋変動と西南極氷床の消長との関連性を明らかにすることです。具体的には、

1)
西南極氷床が全体の南極氷床量と海水準の変動にどのくらい寄与していたか
2)
氷床周辺の大気および海洋の温度の復元から、過去の極域気温増幅の期間を確認し、それに伴いどのような気候フィードバックが起こったか
3)
海洋のフォーシング(海水準や海水温の変動等)が南極氷床の安定・不安定性に対しどのような役割を担っていたか
4)
温暖もしくは寒冷な気候環境への移行期における地球軌道要素(公転軌道や地軸の傾度・歳差運動の変動)に対し南極氷床がどのように応答してきたか
5)
東ロス海の海底地形の復元を行い、海底地形、氷床の安定・不安定性、気候変動が互いにどのように関連しているのか

これらを明らかにすることで、氷床量変動の将来予測に活用できる情報が得られると考えられます。

図1
図1 本研究航海の掘削サイトの位置
赤丸が表1に示す掘削予定のサイト。黄丸はその他予備のサイト。

表1 本研究航海の掘削サイト・孔の一覧(掘削順)

サイト・孔名 水深 目標掘削深度 作業予定日数
EBOCS-03C 558m 545m 4.1日
EBOCS-01D 566m 950m 7.0日
EBOCS-04B 480m 520m 3.8日
RSCR-02B 2,550m 1,000m 13.0日
RSCR-11A 1,534m 500m 6.7日
EBOCS-02B 658m 500m 3.8日

(航海準備状況、気象条件や調査の進捗状況等によって掘削サイトを変更する場合があります。)

*図1はIODPウェブサイトより引用したものを改変

IODP JRSO・Expeditions・Ross Sea West Antarctic Ice Sheet History

http://iodp.tamu.edu/scienceops/expeditions/ross_sea_ice_sheet_history.html

【参考】IODP Copyright Statement

http://iodp.tamu.edu/about/copyright.html

国立研究開発法人海洋研究開発機構
(IODP及び本航海の科学計画について)
地球深部探査センター 科学支援部長 江口 暢久
(報道担当)
広報部 報道課長 野口 剛
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