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光合成細菌の“生きた化石”をカナダの湖から発見 ~地球上における光合成進化の謎を解く鍵となる細菌~

2024.03.14
国立大学法人北海道大学
国立研究開発法人海洋研究開発機構

北海道大学低温科学研究所のジャクソン・ツジ研究員(研究当時)(研究開始当時:カナダ・ウォータールー大学、現在:JAMSTEC Young Research Fellow)、渡邉友浩助教、福井学教授とウォータールー大学のジョシュ・ニューフェルド教授らの研究グループは、光合成進化のミッシングリンクに相当する新奇性の高い細菌を発見しました。この細菌は酸素を発生させない光合成を行い、光のエネルギーを利用するためにユニークな光化学系を使っていることが判明しました。この発見は、太古の地球において光合成がどのように進化したのかを解明する鍵になると期待されます。

カナダの人里離れた楯状地湖の水中に生息する本細菌を培養するためには、本細菌が人工培地に適応するための長い時間が必要でした。このため培養初期は実験に「失敗」したと思われましたが、注意深い観察を通じて、研究グループは新しい光合成細菌の分離・培養、同定に成功し、ゲノムや光化学系に関する詳細な研究を実現しました。この発見は光合成の進化に関わる長年の難問に新たな視点を与えることから、ある意味で、光合成細菌の「生きた化石」であると捉えることができます。

本研究成果は、日本時間2024年3月14日(木)公開のNature誌に掲載されました。

図1

図 新たな酸素非発生型光合成細菌が発見されたカナダの湖の全景、走査型電子顕微鏡像(クロロヘリックス アロフォトトロファ)、及び推定される光合成の初期進化の描像。
Copyright: the authors. Photo (top left) is courtesy of the IISD-Experimental Lakes Area Inc.

詳細は 北海道大学のサイトをご覧ください。

国立研究開発法人海洋研究開発機構
海洋科学技術戦略部 報道室