2014年8月に発生した広島豪雨、昨年の9月の関東・東北豪雨など、毎年のように気象災害が発生しています。集中豪雨や突風などの気象災害による被害者を減らすためには、降水量や風速の予測値や確率情報をより正確に、また、十分な避難時間が確保できるようにできるだけ早く得ることが必要です。また、突風などの地表近傍の生活空間での影響を明らかにすることも重要です。
降水量や風速、それらの確率情報などの情報をより正確に得るためには、最先端 の観測技術によって得られた高頻度・高密度な「観測ビッグデータ」と、「観測ビッグデータ」を活かして初期値を作成するデータ同化技術の開発が必要です(目標1)。また、わずかな初期値の差で予測が大きく変わる場合など、単独の予測では十分ではない場合には、複数の予測を行うアンサンブル予報が有効です。アンサンブル予報の初期値を時間を遡らせながら確率情報を得ることにより、より長いリードタイム※を得ることも期待できます。また、アンサンブル予報の出力を洪水浸水モデル・土石流モデルに適用して、洪水や土砂災害の確率予報の 可能性も探ります(目標2)。またスパコン「京」を活かして「数値予測モデル」の高精度化を行います(目標3)。さらに竜巻などの突風に関して、乱流解析技術であるラージエディシミュレーションを用いて生活空間での突風の特性を明らかにすることにより、被害を減らす取り組みを行います(目標4)
本サブ課題では、気象災害の被害者を減らすために、上記の4つのアプローチ(目標1-4)を用いて、集中豪雨や突風などの予測精度の大幅な向上とより早い予測を目指すと共に、また地表近傍の生活空間での建築物への影響を明らかにして、より安全な社会の創出に貢献します。
※リードタイム:避難行動をとるための猶予時間で、情報を発表してから現象が発生するまでの時間のこと。