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平成17年度(独)海洋研究開発機構委託事業 |
3. 海洋環境に配慮した海洋調査観測活動の国際動向の調査本章では、アンケート回答の少なかった点を補完することを考慮して、1章でアンケート対象とした海外調査機関等を中心に文献資料、websiteなどによる環境配慮に関する取り組み状況を調査した。 3−1.調査研究機関・大学における環境配慮に関する事例(1) 公募による環境にやさしいアンカーの設計コンペティション2006年3月1日、NOAAモントレー湾国立マリンサンクチュアリおよびモントレー湾水族館研究所(MBARI)は、環境にやさしいアンカー設計コンペを開催し、その受賞者を発表した。処分可能なアンカー設計の最優秀賞は、カルフォルニア州パシフィックグローブのArrol Lund氏が受賞した。再生可能なアンカー設計の最優秀賞は、モントレー湾水族館研究所(MBARI)のJim Barry氏および海洋技術者のMike Conway氏 と Mike Burczynski氏が受賞した。以下にその詳細について紹介する。 環境配慮促進法における情報公開 (◎=責務・毎年、○=努力・毎年、△=努力) ※特定事業者については「環境報告書の普及を図る観点から、いわば‘モデル’として率先して環境報告書を作成・普及していただく」とされている。 以上のように、環境報告書の作成、環境配慮等の状況の公表および公表の責務、公表頻度といった事項は、国、地方自治体、特定事業者(独立行政法人、国立大学法人等)、企業によって異なっている。 わが国における海洋関係機関は、独立行政法人、国、地方自治体、民間企業と多様に存在している。これらの機関における環境配慮等の状況と、環境配慮促進法の認知度について調査するため、以下に示すアンケートを実施した。 2−1.アンケート概要(1)調査対象(i)都道府県水産試験場39件北海道水産林務部水産振興課、青森県水産総合研究センター、秋田県水産振興センター、岩手県水産技術センター、山形県水産試験場、宮城県水産研究開発センター、福島県水産試験場、茨城県水産試験場、千葉県水産総合研究センター、東京都産業労働局水産課、神奈川県水産技術センター、静岡県農林水産部水産振興室、愛知県水産試験場、三重県科学技術振興センター水産研究部、和歌山県農林水産総合技術センター水産試験場、大阪府水産試験場、新潟県水産海洋研究所、富山県水産試験場、石川県農林水産部水産課、福井県水産試験場、京都府立海洋センター、兵庫県立農林水産技術総合センター水産技術センター、鳥取県水産試験場、岡山県水産試験場、島根県水産試験場、広島県立水産海洋技術センター、山口県水産研究センター、愛媛県水産試験場、香川県水産試験場赤潮研究所、徳島県立農林水産総合技術支援センター、高知県水産試験場、福岡県水産海洋技術センター、大分県農林水産研究センター水産試験場、宮崎県水産試験場、熊本県水産研究センター、長崎県総合水産試験場、佐賀県有明水産振興センター、鹿児島県水産技術開発センター、沖縄県水産試験場 (ii)大学関連11件広島大学、三重大学、鹿児島大学、長崎大学、東海大学、東京海洋大学、北海道大学、水産大学校、東大地震研究所、東大生産技術研究所、東大海洋研究所 (iii)省庁関連2件気象庁、海上保安庁 (iv)独立行政法人4件(独)産業技術総合研究所、(独)防災科学技術研究所、(独)港湾空港技術研究所、(独)石油天然ガス・金属鉱物資源機構 (v)民間企業19件アジア航測(株)、(株)エコニクス、沿岸海洋調査(株)、応用地質(株)、オフショア・オペレーション、川崎地質(株)、国際航業(株、国土環境(株)、三洋テクノマリン(株)、(株)シャトー海洋調査、(株)地球科学総合研究所、(株)東京九栄、日本海洋調査(株)、日本大陸棚調査(株)、(株)パスコ、復建調査設計(株)、芙蓉海洋開発(株)、深田サルベージ建設(株) (2)設問概要現在行われている海洋調査の現状と環境への影響、環境配慮促進法の認知度および対応、今後の環境配慮に関する取り組み等について、選択式および記述式の両者を取り入れて設問を設計した。なお、実際に送付したアンケート一式を付属資料5に示した。 (3)実施時期:2005年12月(4)実施方法:アンケート票の送付、回収はe-mailを用いた。2−2.アンケート結果(1) 回答率回答数は合計27件であった。海外アンケートに比べて母集団が多く、有意義な解析を行うことができた。
(2)回答結果
Q1.貴機関で実施されている海洋調査観測活動はどのようなものですか。選択肢の中から該当するものをお選びいただき、代表的な活動の概要についてご記述下さい。(回答機関数27:複数回答)
<代表的な活動の概要>※記述式の回答については地名等回答機関の特定に係わる記述は省略した。以下同。
Q2.貴機関が実施している海洋調査観測活動における環境への影響について、どのようにお考えですか。(回答機関数27)
Q3.これまで携わってきた代表的な海洋調査観測活動が、環境に影響を与えたと考えられる事例があるとすれば、それはどのような種類の活動例ですか? また、その具体的影響内容はどのようなものでしょうか? (回答機関数3:複数回答)
<記述回答:3件>(民間−1)XBT、XCTD 公的機関を含めて、外洋水域が多いが、鉛等が含有されているので危惧される。 (民間−2)
(民間−3)
Q4.平成17年4月1日から「環境情報の提供の促進等による特定事業者等の環境に配慮した事業活動の促進に関する法律(通称・環境配慮促進法)」が施行されました。貴機関での同法についての認識はいかがですか?(回答機関数27)
Q5.同法が施行されるにあたって、貴機関での海洋調査観測活動において何らかの対策を講じられましたか。(回答機関数26)
Q6.海洋調査観測活動において、具体的に、どのような対策をとりましたか。
(記述回答3件) (民間−1)ISMに則り、船舶運行中(ISM資格申請中) (事業所としては、ISO9001及びISO14001は取得済み)
(民間−3)
(民間−6)
Q7.海洋調査観測活動において、対策をとらない理由についてお答えください。
(回答機関数23) <「その他」の内容>(水試−3)
(水試−4)魚探調査は沿岸域が主体で、鯨類が少ない海域でもあり影響はない。また、有機スズや鉛などの有害物の使用はすでに避けており、この法律ができる前から環境への配慮は考えていた。現状では当方の調査活動が環境に影響することはほとんどないと考えられる。さらに新たな対策が必要かどうかについては今後検討したい。 (水試−6)対策をとるか否かは今後の検討課題とする。 (水試−8)法律内容を確認し、対策の必要性を今後検討したい (水試−10)これまで調査船の建造,調査活動において他の法律に基づき配慮はしてきたところであるが,法律の内容について検討した上で必要があれば対応する。 (水試−15)Q5で回答したように、対策をとるかどうかについては今後検討していくことになる。 (水試−16)本調査は漁業活動の効率化のための漁況予測等を目的としており、このことは漁業が環境へ及ぼす影響を低減するためにも必要なものである。また、頻度的にも必要最低限で環境へ影響は軽微と思われるが、環境への影響も全く必要ないとは考えておらず、今後、できうる対策を検討したい。
(独法−1)
Q8.環境に配慮した事業活動の促進における、海洋調査観測活動の位置付けについて、お伺いいたします。
(回答機関数26)
<コメント>
(水試−4)
Q9−1.海洋調査観測活動における環境への影響について、取り組みはどのようにお考えですか?(理念・ガイドラインについて)(回答機関数26)
Q9−2.海洋調査観測活動における環境への影響について、取り組みはどのようにお考えですか?(海洋調査観測活動の実施について)(回答機関数26、複数回答)
<コメント>
(水試−12)
Q10. 最後に、本アンケートの主題たる海洋調査観測活動の環境配慮、あるいは、本アンケート自身に関するご意見、ご感想、コメントなど、何でもご自由にご記入ください。(回答機関数8)
(水試−5)現在、観測活動については環境への影響からほとんどない状態にあるが、調査内容、方法等によっては支障をきたすことも考えられることから、十分実態等を踏まえガイドライン等を検討すべきである。 2−3.アンケート分析(1)アンケート結果のまとめ
(2)アンケート結果総括以下に、各質問ごとの結果を総括した (質問1.現行の海洋調査観測活動の内容について)海洋調査観測活動の内容については、気象海象観測、水中音響調査、水質調査、底質調査、生態系調査、水産資源調査で15から22件の回答があり、もっとも多かったのは水産資源調査であった。代表的な活動について記述では、水産試験場で定期的な海洋観測および漁獲対象物の資源量調査が多くを占めた。 一般的な定期海洋観測および資源量調査の他には、人工魚礁の効果確認調査、藻場調査、干潟調査、赤潮・貝毒プランクトンの調査、原子力発電所等の排水の調査といった活動が地域ごとに実施されていた。 一方、民間企業からは環境アセスメントという回答が複数みられた。これは、海洋工事等の事前調査と考えられ、調査項目が水質、底質、生物など多岐に及ぶ総合的な調査と考えられる。 (質問2.環境への影響について)全体として、海洋調査観測活動は「環境への影響はほとんどない」との過半数の回答が57%を占め、「環境への影響についてこれまで公式に検討したことがない」との回答も32%あり、両者の合計は89%におよんだ。一方、「ある程度の影響がある」との回答は11%に留まった。この設問からは海洋調査観測活動が環境に与える影響は軽微であると捉えられている現状がうかがえた。 この傾向は特に公共機関で顕著にみられ、回答の得られた20機関の全てが「環境への影響はほとんどない」、「環境への影響についてこれまで公式に検討したことがない」と回答していた。一方、民間企業では回答の得られた7社のうち、3社が「ある程度の影響がある」と回答していた。民間の調査会社ではISOなどの国際基準を事業実施の条件とするケースが増えているという背景があり、これらに準拠した調査活動により環境に対する意識が高まったものと考えられる。 (質問3.環境に影響のある調査活動について)質問2で、海洋調査観測活動が環境に与える影響は少ないと答えられてことから、回答を得た機関は3件に留まった。その内容は、投げ捨て式の測器(XBT、XCTD)の鉛などによる環境影響に関する危惧、生物採取による生態系への影響、船舶や発電機等を使用することによる一般的な環境影響(排気ガス、振動、二酸化炭素排出等)についてであった。また、「化学薬品、有害物質を含む試料、ホルマリンなどは環境負荷があり、対策をとってきた」との回答もあった。 (質問4.環境配慮促進法の認知度について)環境配慮促進法について「知っている」60%に対し、「知らない」が40%であり、現時点での認知度は高いとはいえない。また、同法における特定事業者に指定されていないので対策をとっていないという回答が11%、指定されていないが自主的に環境に配慮した事業活動を促進しているという回答が19%あった。 (質問5.環境配慮促進法への対応)環境配慮促進法を念頭に対策をとった機関はわずかに8%であり、知っているが特に対策をとっていない機関は50%であった。また、知らなかったためこれから対策をとるかどうか検討する機関は38%であった。質問4および5から、同法については「知らない」、もしくは知っていても「特に対策をとっていない」という姿勢が伺える結果となった。 (質問6.具体的な対応)具体的な対応については、民間企業3社より回答があった。対策としては、ISM、ISOなどの資格取得であった。 (質問7.対策をとらない理由について)海洋調査観測活動において対策をとらない理由では「海洋調査観測活動に及ぼす影響は軽微であり、特に対策は必要ないから」という回答が54%を占めた。「環境影響の評価検討に基づいて対策すべき」が13%、「既に十分な対応をしている」が8%あった。 「その他」と回答した25%については、記述に「生物のサンプリングは最小限にとどめている」、「有機スズや鉛などの有害物質は環境配慮法以前から使用していない」、「鯨類の生息範囲ではいので、音響調査に問題は無い」といった、環境に対する配慮例がいくつか見られた。また、「法令の施行によって、新たに採用すべき対応技術や新素材が開発され利用できる状況にあるのであれば引き続き配慮を進めていきたい」といった積極的な意見もあった。 (質問8.環境に配慮した事業活動の促進における海洋調査観測活動の位置づけ)本設問では環境に配慮した事業活動の促進と海洋調査観測活動の関係について意識を調査した。結果としては「十分関係する」(23%)と「関係するかもしれない」(42%)を合計すると65%が関係する可能性があると認識している。一方、「結びつけて認識していない」は23%、「分からない」は12%であった。ここまでの結果では、海洋調査活動の環境に対する影響は少ないと考えている機関が多いものの、海洋調査観測活動が「環境に配慮した事業活動の促進」の一環として考えられているとみられる。 (質問9.今後の取り組みについて)質問9−1では今後の取り組みについて尋ねているが、「直ちに理念を掲げるとともに作業ガイドラインを策定すべき」(8%)と、「影響内容はわからないものの、理念だけでも掲げるべきだ」(35%)を合わせて43%の機関が今後何らかの取り組みの必要性を感じている。一方、「影響内容が分からない限り軽々に取り組むべきでない」という慎重な姿勢も15%の機関で見られた。また、「何ともいえない」という回答の機関も38%みられ、現状は今後の成り行きを見守る姿勢の機関も多く見られた。 質問9−2では今後の海洋観測活動について尋ねているが、ここでも「環境に及ぼす影響は深刻とは思えないが、ガイドラインや理念は必要」という回答が最も多かった。コメントとしては、「一定のガイドラインよりは各調査内容に応じた対応が必要」といった指摘や、「大規模な調査では環境影響も予想されるので理念だけでも必要」といった指摘があった。また、海洋観測は、これまで目の届かなかった環境負荷を発見し、そのImpactを有効に減らしていくという社会に対する責務があるという示唆に富んだコメントもあった。 (3)アンケート結果の分析アンケートの回答率は35.5%であり、対象別には都道府県(43.6%)、民間企業(36.8%)、省庁(100%)、独立行政法人(25.0%)、大学(0%)であった。都道府県および省庁を含めた行政機関では回答率が比較的高かったが、大学からの回答はなかった。 大学については、「あくまでも練習船による教育実習の観点からの航海である」ため、アンケートの主旨と合致しないとの連絡が一件寄せられた。 国立大学法人は環境配慮促進法における特定事業者の指定を受けており、環境報告書を率先して作成するよう指導されている。しかし、今回の調査では、大学等の教育機関の海洋環境配慮に関する意識を明らかにすることはできなかった。教育機関の実施する環境配慮に対する取り組みおよび教育実態については、今後のわが国における海洋事業の従事者育成という観点で、注目すべき点であると考えられる。 本アンケートの結果から、海洋調査・観測活動の環境におよぼす影響は深刻なものではないという意識が大多数を占めた。海洋調査・観測活動を行う際の環境に関する規制は、廃棄物の管理以外の項目では、海外と比較して具体的な数値等の規制は少ない。そのため、生物サンプリングの量、種類などについては調査実施機関ごとの裁量で行われているのが現状とみられる。 事業活動における環境への配慮は必要であるが、調査機関の実施する調査が直ちに環境に深刻な影響を及ぼすとは考えにくいという認識が広く見られた。また、むしろ、調査観測の充実により、環境保護に有益な学術的データを提供できるという主旨の見解もアンケート回答にはみられた。 ・目的:なぜこのようなタイプのアンカーが必要なのか?係留またはその他の使用目的で使用されるアンカーが我々のサンクチュアリーに故意に遺棄され、その数は増えるばかりである。それに危惧したNOAAモントレー湾国立マリンサンクチュアリおよびモントレー湾水族館研究所(MBARI)は、環境にやさしいアンカーのアイディアの提案を促進するためにこのデザインコンペを開催することにした。 ・実施機関:米国海洋大気庁(NOAA)/モントレー湾水族館研究所(MBARI)・設計条件:最優秀賞には、800ドルの賞金が送られ、NOAAモントレー湾国立マリンサンクチュアリおよびモントレー湾水族館研究所(MBARI)は、そのアイディアを実現するためにエンジニアリングおよびテクニカルな部分で協力し、環境にやさしいアンカーを完成させたいと考えている。環境に対する影響を最小限に抑えた処分可能なものまたは簡単に再生ができるもの、またはそのふたつのコンビネーション(例:ある部分は使い捨てである部分は再生可能)が設計条件である。どこでも再び使用することができ、本来の設置場所と同じ条件で再使用できるアンカーでなければならない。 海底への鉄重量で400,000ポンド相当のアンカーが望ましく、デザインはアンカーとして適切であり、環境への影響や費用およびアンカー回収費用などを考慮し判断される。設計者は、なぜこれらのデザインが環境にやさしいのかという説明を表記しなければならない。同じアイディアが重複して提出された場合には、はじめに提出が受領さえたものに賞金が渡される。コンペ応募作品は、NOAAモントレー湾国立マリンサンクチュアリおよびモントレー湾水族館研究所(MBARI)によって判断され、「再生可能なアンカー」および「環境への影響を最小限にする材料を用いた処分可能なアンカー」の最優秀賞がNOAAモントレー湾国立マリンサンクチュアリのレビューチームによって選ばれる。 ・提出方法:
モントレー湾水族館研究所(MBARI) Mandy Allen宛 ・提出物:
図面および/またはアンカーシステムが表現されているもの ・締切:2005年5月1日コンペは、科学的な装置を海底に固定するためにアンカーが使用されることが可能かという点に集中した。「このコンテストの目的は、調査プロジェクトが終わった後、研究者がサンクチュアリーから科学的な装置を取り除くことを認識してもらうことであり、研究者には『泡』以外のものを残してほしくないと思う。」とサンクチュアリーの指導監督であるKaren Grimmer氏は述べている。 アメリカ国内のいたるところから、16歳の高校生を含む多数の応募があった。海洋エンジニアおよび環境科学者が、環境に及ぼす影響や実現の可能性および費用対効果を基に各応募を評価した。応募は、アメリカ国内全土からあったにもかかわらず、2点の最優秀賞はモントレー湾からのものであった。 出典:NOAA カルフォルニアパシフィックグローブ Arrol Lund氏によるイラスト 処分可能なアンカー設計の最優秀賞は、カルフォルニア州パシフィックグローブのArrol Lund氏が受賞した。このアンカーは、砂で一杯にしたプラスチック製のバケツをひっくり返したものを使用する。海底にアンカーが降ろされている間は、底に蓋をしたバケツに砂をいれたままにする。しかし、アンカーが引き上げられた時には、バケツの蓋が開き、砂が海底に放出される。この方法であれば、簡単に海上へたぐりよせることができる。 再生可能なアンカー設計の最優秀賞は、モントレー湾水族館研究所(MBARI)のJim Barry氏および海洋技術者のMike Conway氏 と Mike Burczynski氏に贈られた。彼らの設計は、海洋学者達にとっては、頭の痛い問題である海上の船とはアクセスしにくい海中に設置され、海底へアンカーされる器具をどのように回収するかを述べたものである。 この問題に取り組むために、器具をささえるライン上にフロートをつけた長いリールを付けることを彼らは提案している。実験終了時には、ラインはスプールから出され、リールは自動的にはずされて、海上へ浮かび上がる。フロートとリールが海上へ浮かび上がったら、アンカーおよび器具の両方を引き寄せるために研究者はラインを使用する。 出典:NOAA &Monterey Bay Aquarium Research Instituteモントレー湾水族館研究所(MBARI)のJim Barry氏 このプロジェクトの次のステップは、大きなアンカーを必要とする西海岸の研究者達とのディスカッションを含んでいる。ディスカッションでは、実現可能な未来の設備に関するさらなる見極めや洗練されたデザインおよび費用対効果などに焦点が当てられ、議論がなされるであろう。 モントレー湾国立マリンサンクチュアリは、中央カルフォルニアコーストの276マイルに沿うように広がっており、海域の5,300平方マイル以上を囲んでいる。景観と豊かさで有名な保護区が何千もの無脊椎動物や植物、345種類の魚、94種類の海鳥、33種類の哺乳類動物を含む世界で最も多様な海の生態系をサポートしている。 米国海洋大気庁(NOAA)のマリンサンクチュアリプログラムは、教育プログラム、探査、モニタリングおよび科学的調査の指導を行うことにより、後世に伝えるべき海洋自然環境やアメリカの海洋資源に対する国家全体の認識の向上を目指しており、現在、サンクチュアリプログラムは、150,000平方マイル以上のアメリカ海域および五大湖の自然および文化的資源を網羅する13箇所の国立海洋保護区と1箇所の珊瑚礁における生態系の保存を管理している。 (2) 国海洋大気庁(NOAA)における調査船の完全非石油化出典:NOAA エネルギー省の連邦エネルギーマネジメントプログラムにより表彰された調査船 Huron Explorer 2006年4月19日- アメリカで初めて石油製品を使用せずに大豆を使う米国海洋大気庁(NOAA)の調査船がミシガン湖で行われたアースデイウィークにてエネルギー省の連邦エネルギーマネジメントプログラムにより表彰された。
「米国海洋大気庁(NOAA)は、環境保護に対する積極的な参加をしており、この調査船RV Huron Explorerは、非常に現実的な方法で環境保護を実行している。調査によって生態系を乱さないため、環境にやさしい調査船をもちいる。」と米国海洋大気庁(NOAA)の海洋・大気研究所長官補佐代理であるStephen B. Brandt氏は述べた。 " YOU HAVE THE POWERキャンペーン" は、連邦政府の施設にて省エネについての認識を高めることにより、連邦政府各機関が省エネ目標に達成するのを促進するものである。連邦政府は、賢いエネルギー使用を奨励すると同時に環境および自然保護を促している。 USコーストガード船であるHuron Explorer(41ft)は、2004年に米国海洋大気庁(NOAA)五大湖環境調査研究所の船となり、その他の2隻は、現在五大湖で調査に従事している。また、Huron Explorerは、米国海洋大気庁(NOAA)サンダー湾国立海洋保護区およびHuron湖深海保護に従事している。 出典:NOAA 調査船Shenehon (67ft) 米国海洋大気庁(NOAA)の最も古い船であるShenehon (67ft)を含む他の2船は、非石油製品を使用している。Shenehon は、2000年にB100 バイオディーゼルの使用を開始し、メインエンジンのパフォーマンスや発電機を変えることなく、排気や不快な臭いなどの大気汚染物質削減を行った。B100の使用は海洋における代替燃料として、大豆油を利用できるということ立証した。(軽油に20%の大豆油をブレンドしたB20は、自動車やバスおよびトラックに使用されている。) GLERの船運用会社のDennis Donahue氏は、1974年建造の調査船Laurentian (80ft)にバイオ作動オイルを使用した。設備のパフォーマンスやポンプなどを変えずにバイオ作動オイル使用した全システムは十分に機能し、船用品削減および積込品改善にも貢献した。 出典:NOAA 調査船Laurentian (80ft) 2005年8月には、Huron Explorer は、デッキクレーンおよびウィンチやギアにはセイヨウアブラナから精油された作動油を使用し、エンジンオイルには100%大豆のバイオディーゼルを使用。また、モーターオイルにはキャノーラ油を使用するなど石油製品からバイオ燃料および潤滑油へ変えた。 「悪臭と汚染を排出する1974年製エンジンの改善と排出物の大いなる削減を我々は目の当たりにしました。生物分解性植物油は油漏れや油濁などの場合に環境保護の新たな水準をもたらします。」とDonahue氏は述べ、農産物へ移行することは船員と研究者の労働環境の改善にもつながると付け加えた。 その他の米国海洋大気庁(NOAA)の船といくつかのプライベート船は、GLERLでの経験を基に同じようなバイオ製品への切り替えを実行中である。GLERLは、Shenehonの残りのシステムを農産物へのすべて切り替えることを今年計画しており、Laurentianは、2007年を目処にB100のバイオディーゼルへ替える予定である。これにより、3隻すべてが100% 石油不使用となる。 (3)IODP (Integrated Ocean Drilling Program)における環境方針IODPは、海底調査を管理する団体として、その活動が環境に与える影響がほとんどないということを保障しなければならない、としている。IODP海洋科学コミュニティのすべてのメンバーは、以下に示す指針の習熟を求められている。これらの指針によって、コミュニティのメンバーの中で環境問題に対する認識が強化されるとともに、特に掘削オペレーションに参加している科学スタッフには徹底した履行が要求されている。これらの原則はIODPオペレーション組織および請負業者によって基準が定められている。実行組織およびその他のオペレーションの請負業者は、掘削および関連活動に対しても同等の責任を課している。また、資金提供を行っている関連団体にも責任がおよぶものとしている。 a)海洋生物と環境の保護
b)環境の復元と廃棄物処分
c)潜在的有害物質/生物(有機物)のケアと保管
d)調査活動の周知
(4)SEA(Sea Education Association)による 環境に優しい船底塗装の使用2006年1月- SEAが所有する海洋調査/航海実習船「Robert C. Seamans」および「Corwith Cramer」は、Michigan Molecular Instituteが開発した環境に優しい船底塗装のテストに参加することに合意した。現在は、「Robert C. Seamans」にテストパッチが行われており、6月には「Corwith Cramer」がテストを受ける予定である。現在特許申請中のハイパーブランチポリマーを利用したもので、毒性がなく環境に優しい塗料である。 3−2. 企業における環境配慮に関する事例(1)FUGROノルウェーに拠点をおくFUGROグループは、石油業界を中心にサービスを提供しており、現場調査やルートサーベイおよびROVオペレーティングサービスなどを幅広く展開している会社である。FUGROは、HSEで環境に配慮する方針を掲げている。 HSE (Health, Safety and Environmental Policy)
3−3. その他の事例(1)オーストラリア政府 グレイトバリアリーフ海洋公園局グレイトバリアリーフ海洋公園局はグレイトバリアリーフの生物多様性を保護するために重要な役割を果たしている機関である。 2004年7月1日に「グレイトバリアリーフ海洋公園ゾーニングプラン」が実施された。新しい政策である「グレイトバリアリーフ海洋公園における科学調査管理」が規制地区内で調査をする場合に適用され、海洋調査観測活動の許可書が必要となる。そのためには、各種の要求事項をパスしなければならない。詳細については付属資料2を参照されたい。 サンプル採取の場合:
研究許可申請書は、規則で定められる基準を考慮して評価される。 これらの基準は、海洋公園のその他の利用者および天然資源に提案された活動の潜在的影響を述べており、Native Title Act (先住権法)のもと、代表団体および申請者に通知される。 その際、環境調査倫理助言委員会によるレビューを要求する場合もある。 Native Title, クイーンズランド公園野生生物サービス, 重要な事項に関するグループ, 許可条件ドラフト, 奨励事項の順で各アセスメントがなされ、何も問題のない場合には、許可書が発行される。 <関連web site>
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