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平成16年度(独)海洋研究開発機構委託事業
「海洋調査観測活動に伴う海洋環境に対する配慮(取り組み)の調査・分析」報告書
(平成17年3月 社団法人 海洋産業研究会)

1.国内外の関連法制の概要整理

1−1.国内外の関連法制整理の視点

国内外の海洋環境に関する法律を整理するにあたり、まず国際法及び国内法に大別した。国際法制関係では、国連海洋法条約、生物多様性条約、気候変動に関する国際連合枠組条約、船舶のバラスト水及び沈殿物の規制及び管理のための国際条約、ロンドン条約、MARPOL73/78条約、OPRC条約、バーゼル条約を主要国際条約とし、主要国際会議で採択された政策指針であるアジェンダ21、ISO14001なども概括する。

国内法制関係では、環境基本法、海洋汚染及び海上災害防止に関する法律、環境影響評価法、大気汚染防止法、悪臭防止法、騒音規制法、震動規制法、水質汚濁防止法、自然公園法、自然環境保全法、絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律などがあるが、2005年の4月から施行される事業者の環境配慮活動促進法にも触れる。

以下は、関連法制を時系列で表1-1にまとめた。1−2以降では、重要度および本調査との関連性を考慮して、要約的な解説を加えていくこととする。

表1-1海洋環境に関連する国際条約等(年次順)
1970年 海上汚染及び海上災害の防止に関する法律の制定
1972年 廃棄物その他の物の投棄による海洋汚染の防止に関する条約(ロンドン条約)の採択
1973年 1973年の船舶による汚染の防止のための国際条約の採択
1974年 ロンドン条約の発効
1978年 1973年の船舶による汚染の防止のための国際条約に関する1978年の議定書
(MARPOL/78条約)
1989年 地球環境保全に関する関係閣僚会議の設置
有害廃棄物の国境を越える移動及びその処分の規制に関するバーゼル条約の採択
1990年 地球温暖化防止計画の策定
1990年の油汚染に関する準備、対応及び協力に関する国際条約(OPRC条約)の採択
1992年 環境と開発に関する国連会議 / INCEDの開催(地球サミット)
アジェンダ21
生物の多様性に関する条約の採択
バーゼル条約の発効
1993年 アジェンダ21(日本版)
生物多様性に関する条約の発効
海洋汚染及び海上災害の防止に関する法律の改正
1994年 国連海洋法条約の発効
気候変動枠組条約の発効
1995年 バーゼル条約の改正
第1回締約国会議の開催(COP1)
1996年 ロンドン条約の改正
第2回締約国会議の開催(COP2)
1997年 第3回締約国会議の開催(COP3・京都)
1998年 地球温暖化対策の推進に関する法律(地球温暖化防止法)公布
第4回締約国会議の開催(COP4・ブエノスアイレス)
1999年 地球温暖化対策推進法施行
第5回締約国会議の開催(COP5・ボン)

1−2.国際法関係の概括

1−2−1.国際条約

(1)国連海洋法条約

海洋法に関する国際連合条約(国連海洋法条約)は、海洋に関する法的な秩序の形成を目的とした条約である。領海、接続水域、国際海峡、排他的経済水域(EEZ)、大陸棚、公海、深海底、海洋環境の保護及び保全、海洋の科学的調査等の海洋に関する事項について定めた多数国間条約で、人類史上初の包括的な海の憲法とも言われている。条約本体は前文、本文17部、全320条及び9附属書から成っており、条文本体と後述を併せると約500条にもなる。人類史上初めての包括的な海洋条約であって、「国際的な海の憲法」とも呼ばれている。旧来の海洋法条約との比較で注目されるのは、主として以下の点である。

  • 領海の幅は12海里(1海里は緯度約1分で1,852m)以内とする
  • 沿岸国は200海里までの排他的経済水域(EEZ)を設定することができ、その中にいる魚などの生物資源、鉱物などの非生物資源の探査と開発について、沿岸国の権利が認められる
  • 海洋環境の保護について国家の権利と義務を規定し、沿岸国の管轄権を強化する
  • 平和的目的の海洋の科学調査について、国際協力を進めることである

ところで、“海洋環境の保護及び保全”については、第12部でまとめて取り上げられており、第1節の第192条から第11節第237条まで、46条で構成されている。特にそのなかでは、「第5節 海洋環境の汚染を防止し、軽減し及び規制するための国際的規則及び国内法」の部分が関係してくると考えられるが、この節の条文見出しは以下のとおりである。

  • 第207条 陸にある発生源からの汚染
  • 第208条 国の管轄の下で行う海底における活動からの汚染
  • 第209条 深海底における活動からの汚染
  • 第210条 投棄による汚染
  • 第211条 船舶からの汚染
  • 第212条 大気からのまたは大気を通ずる汚染

また、「第9節 責任」に掲げられている1条、すなわち「第235条 責任」の部分では以下のように規定している。

第9節 責任
第235条 責任
  1. いずれの国も海洋環境の保護及び保全に関する自国の国際的義務を履行するものとし、国際法に基づいて責任を負う。
  2. いずれの国も、自国の管轄の下にある自然人又は法人による海洋環境の汚染によって生する損害に関し、自国の法制度に従って迅速かつ適正な補償その他の救済のための手段が利用しうることを確保する。
  3. いずれの国も、海洋環境の汚染によって生ずるすべての損害に関し迅速かつ適正な賠償及び補償を確保するため、損害の評価、賠償及び補償並びに関連する紛争の解決について、責任に関する現行の国際法を実施し及び国際法を一層はテンさせるために協力するものとし、適当なときは、適正な賠償及び補償の支払に関する基準及び手続き(例えば、強制保険または補償基金)を作成するために協力する。

ともあれ、本条約では、いずれの国も海洋環境を保護し保全する義務を有するとしており、海洋環境の汚染を防止し、軽減し及び規制するための措置を包括的に規律している。  

ところで、これらの規程につづく第13部が“海洋の科学的調査”に関する部分である。第1節第238条から第6節第265条まで、全28条で構成されている。ここでは、すべての国(地理的位置のいかんを問わない)及び権限のある国際機関は、この条約に規定する他の国の権利及び義務を害さないことを条件として、海洋の科学的調査を実施する権利を有することを定めている。又、海洋の科学的調査の実施のための原則や促進、義務や責任も述べている。海洋環境の保護との関連で、条文上で明示的に示されているのは以下の部分である。

第5節第263条3
いずれの国及び権限のある国際機関も、自ら実施しまたは自らに代わって実施される海洋の科学的調査から生ずる海洋環境の汚染によりもたらされ田損害に対し第235条の規定に基づいて責任を負う。

第11条の深海底開発関連の規定に対して、深海底鉱業者の負担が大きい及び生産政策不備などの理由により多くの先進国とりわけアメリカが反発したために、国連海洋法条約は、条約採択から発効まで(1994年)に12年かかった。1990年に国連事務総長が主催する非公式協議が開催され、1994年に第11部の深海底開発に関する規定の修正として「海洋法に関する国際連合条約第11条の実施に関する協定」が採択されることにより、発効された。

(1)国連海洋法条約

1992年ブラジルのリオデジャネイロで開かれた地球サミット「国連環境開発会議」の主な成果として、「気候変動に関する国際連合枠組み条約」と共にサミット期間中に署名のため開放、1993年12月に発効された。現在、187国が締結しているが(日本は条約採択の翌年に加盟)米国は未締結である。

多様な生物種や生態系の保全、モニタリングなどを行い、遺伝子、種、生態系の3つのレベルでとらえた生物の多様性を保存する必要があると謳っている。条約の目的は以下のとおりである。

  • 地球上の多様な生物をその生息環境とともに保全すること
  • 生物資源を持続可能であるように利用すること
  • 遺伝資源の利用から生ずる利益を公正かつ衝平に配分すること

生物多様性条約の第6条は、生物多様性に関する国家的な戦略、行動計画または実施計画を策定するように、各締約国政府に対して求めている。この規定に基づいて日本は、1995年に「生物多様性国家戦略」、2002年には「新・生物多様性国家戦略」を策定した。しかしながら、この戦略は理念や方針を定めたものであり法律ではなく、日本が締約国としての取り組みと方針を示したものである。その目標としては、

  • 各地域固有の生物の多様性を、その地域の特性に応じて適切に保存すること
  • 特に日本に生息・育成する種に、新たに絶滅のおそれが生じないようにすること
  • 世代を超えた自然の利用を考えて、生物の多様性を減少させず、持続可能な利用を図ること

地球温暖化、酸性雨、海洋汚染等の地球規模の環境間題の深刻化、開発行為による環境破壊、水域の生物種の減少が一段と進むにつれて、日本の海洋と沿岸地域の生物多様性を保全する状況は厳しくなり、生物多様性条約及び新・生物多様性国家戦略はよりその位置付けを増すであろう。

(3)気候変動に関する国際連合枠組条約

「生物多様性条約」と共に1992年ブラジルのリオデジャネイロで開かれた地球サミット「国連環境開発会議(UNCED)」の主な成果として、サミット期間中に署名のため開放、1994年に発効となる。気候系に対して危険な人為的干渉を及ぼすこととならない水準において、大気中の温室効果ガスの濃度を安定化させることを究極的な目的とする条約。そのような水準は、生態系が気候変動に自然に適応し、食糧の生産が脅かされず、かつ、経済開発が持続可能な態様で進行することができるような期間内に達成されるべきであるとしている。そして、地球温暖化がもたらすさまざまな悪影響を防止するための国際的な枠組みを定めたものである。

  • 締結国の共通だが差異のある責任
  • 開発途上締結国等の国別事情の勘案
  • 速やかかつ有効な予防措置の実施

上記の原則を基にして、先進締結国に対し温室効果ガス削減のための政策実施等の義務が課せられている。

(4)ロンドン条約

船舶、海洋施設、航空機からの陸上発生廃棄物の海洋投棄による海洋の汚染の防止や洋上での焼却処分の規制を定めた国際条約である。1972年のストックホルム会議での勧告を受けて採択され、1975年に発効。投棄規制の違いにより廃棄物は以下の3つに区分されている。

  • 投棄禁止の廃棄物
  • 投棄のため適当な国家機関の事前の特別許可を必要とする廃棄物
  • 投棄のため事前の一般許可だけを必要とする廃棄物

国内的には、廃棄物の処理及び清掃に関する法律及び海洋汚染及び海上災害の防止に関する法律で海洋投棄は規制されていたが、1996年の改正により業廃棄物の海洋投棄は原則禁止となり、例外的に投棄することができる廃棄物その他のものを掲げる「リバーリスト」が決められた。それらの廃棄物に対しての管理と影響評価のための手続規定「廃棄物評価フレームワーク」が導入された。

厳密に検討するとすれば、海洋調査観測活動で用いられる投げ込み式等の非回収型機器、装置類の扱いをどう考えるかという点が関係してくるであろう。

(5)バーゼル条約

正式名称は、「有害廃棄物の国境を越える移動及びその処分の規制に関するバーゼル条約」という。一定の廃棄物の国境を越える移動等の規制について国際的な枠組み及び手続等を規定した条約で、1992年に発効された。国内では、同条約を実施するための「特定有害廃棄物等の輸出入等の規制に関する法律」及び関連する法律として「廃棄物の処理及び清掃に関する法律の一部を改正する法律」が1993年に制定された。

同条約を締結した163の国と組織は、2004年の11月の決議にて廃船となった船舶も有毒廃棄物と認定した。北米およびヨーロッパにある造船所では旧型船舶の解体作業を避けている傾向がある。特に米国は大量の廃船船舶を抱えており、125隻の放置された廃船軍艦「幽霊艦隊」の存在が報道されたのは、記憶に新しい。

(6)MARPOL73/78条約

正式には「1973年の船舶による汚染の防止のための国際条約に関する1978年の議定書」という。船舶による海洋汚染の防止を図るため、油等の排出規制、海洋汚染防止の観点からの船体の構造(ダブルハル等)、設備等に関し定めた条約で、1983年に発効された。目的は、船舶の運航やその事故による海洋の汚染を防止することである。油類、バラ積み有害液体物質、梱包されて輸送される有害物質、汚水及び廃物の全てが規制対象となっている。A.2 (2)及び2 (3)にて汚染の定義づけが行われたことにより、船舶航行、海洋資源開発や海洋調査観測などによる海中の人工音に関しては対象外とされている。

(7)OPRC条約

OPRCとは、International Convention on Oil Pollution Preparedness, Response and Cooperationの略である。大規模な海洋汚染事故は、関連諸国の利益にも重大な影響をもたらし、大きな脅威となると認識されたことが、同条約の存在するに至った根拠である。1995年発効。目的は以下のとおりである。

  • 船舶、沖合構造物、海洋施設及び油関連施設に関わる大規模油汚染事故の被害の軽減
  • 汚染事故に対応するための通報等情報の交換
  • 油による汚染に対する緊急時計画の作成、準備及び対応のための国家的及び地域的な体制作り
  • 汚染対応に関する国際協力、研究開発に関する相互援助及び技術協力の推進
(8)船舶のバラスト水及び沈殿物の規制及び管理のための国際条約

2004年2月にロンドンのIMOにて国際会議が開催され採択される。これにより、30カ国が批准し、かつそれらの合計商船船腹量が世界の35%以上となった日の12ヶ月後に発効する。この国際条約の目的は、船舶のバラスト水及び沈殿物の規制及び管理を通じて、有害な水生生物及び病原体の移動による環境、人の健康、財産、資源への危険を防ぐことである。対象船舶は、他国の管轄する水域への航海に従事する船舶となる。

1−2−1.国際条約

(1)地球サミット「リオ宣言」(国連環境開発会議:UNCED)とアジェンダ21

1992年にリオデジャネイロで開催された国連環境開発会議(UNCED)は、国際社会の新しい公平なパートナーシップを構築するという目標を持ち、すべての者のための利益を尊重し、持続可能な開発のための協力体制の確立に向けて、その基本理念を合意した重要な会議である。そこで、地球憲章ともいうべき基本文書である「リオ宣言」が採択された。

また、この会議で採択された文書のひとつで、21世紀に向けて持続可能な開発を実現するための具体的な行動計画がアジェンダ21である。第1部「社会的/経済的側面」、第2部「開発資源の保全と管理」、第3部「NGO、地方自治など主たるグループの役割の強化」、第4部「財源/技術などの実施手段」の4部構成全40章からなり、女性や貧困、人口、居住などの幅広い分野をカバーしている。

特に第17章では、海洋、閉鎖性及び準閉鎖性海域を含む全ての海域及び沿岸域の保護及びこれらの生物資源の保護、合理的利用及び開発について、海洋環境にかかわる以下の7つの包括的な施策が示されている。

  • 排他的経済水域を含む沿岸域の統合的管理及び持続的開発
  • 海洋環境の保護
  • 公海海洋生物資源の持続的利用と保存
  • 国家の管轄下における海洋生物資源の持続的利用と保存
  • 海洋環境の管理及び気候変動の危機的不確実性への対応。
  • 国際的,地域的協力及び調整の強化
  • 小島嶼の持続的開発

国連に「持続可能な開発委員会(CSD)」が設置されており、実施状況をレビューしている。また国レベルや地方自治体レベルでのアジェンダ21の行動計画やローカルアジェンダが策定されている。これに従い日本は、1993年12月に日本版「アジェンダ21行動計画」を国連に提出している。

(2)ISO14001

アジェンダ21を適確にフォローするため目的で、国際標準化機構(ISO)が定めたISO1400S(シリーズ)「環境マネジメントシステム規格」。その中でもISO14001は、環境マネジメントシステムをどのように構築していくかの仕様書的な位置づけとなっている。ISO14001に法的拘束力はなく、具体的な数値等を求めている訳でもない。公共機関や企業が自主的に環境問題に取り組み、実現のための計画(Plan)を立て、実施と運用(Do)を行い、その結果を点検及び是正(Check)し、経営層による見直し(Action)を行うPDCAサイクルを繰り返しながら、改善を図っていく環境マネジメントシステムである。

1−3:国内関係法制の概括

1−3−1.環境基本法

それまでの公害対策基本法、自然環境保全法では、対応に限界があるとの認識から、地球化時代の環境政策の新たな枠組を示す基本的な法律として、1993年に制定された。環境の保全について、基本理念を定め、並びに国、地方公共団体、事業者及び国民の責務を明らかにするとともに、環境の保全に関する施策の基本となる事項を定めることにより、環境の保全に関する施策を総合的かつ計画的に推進し、もって現在及び将来の国民の健康で文化的な生活の確保に寄与するとともに人類の福祉に貢献することが目的である。以下の3つが基本理念として挙げられている。

  • 環境の恵沢の享受と継承等
  • 環境への負荷の少ない持続的発展が可能な社会の構築等 
  • 国際的協調による地球環境保全の積極的推進

1−3−3.事業者の環境配慮活動促進法

この法律は、「環境情報の提供の促進等による特定事業者等の環境に配慮した事業活動の促進に関する法律」(略称:環境配慮活動促進法)といい、平成16年3月9日(火)に閣議決定し、第159回国会に提出され、2004年6月2日に公布、2005年4月1日施行の運びとなっている。

事業者が自らの環境情報を総合的に取りまとめて公表する年次報告書として作成されるのが環境報告書であり、その環境報告書を事業者の環境情報開示の重要なツールと位置付けた上で、その情報が社会の中で積極的に活用されるよう促すことを目的としたものですある。独立行政法人など一定規模以上の公的な事業者から「特定事業者」を指定し、年1回の環境報告書公表を義務づけるとともに、作成した環境報告書への第三者評価の実施など信頼性を高める努力を求めています。また大企業に対しても報告書を自主的に公表するよう努力規定が設けられた。要点は以下の通りである。

  • 国による環境配慮等の状況の公表
  • 特定事業者による環境報告書の公表
  • 民間の大企業による環境報告書等の自主的な公表
  • 環境情報の利用の促進

平成14年度時点で、本国内の上場企業450社、非上場企業200社が環境報告書を作成したが、平成15年度の企業数は900社以上に増えている。ISOの認証取得やリサイクルの促進への取り組みを環境報告書などで対外的にアピールすることにより、ユーザーの評価が高まり、市場競争で有利にするという企業の狙いもある。

この法律で、独立行政法人あるいは試験研究機関といえでも、その例外となりうるとは考えにくく、試験研究機関であっても、というよりは、であるがゆえに率先して環境に対する配慮を実行するよう要請されているといえよう。

1−4.まとめ:環境配慮の必要性と法令遵守

本章では、きわめて要約的ではあるが国内外の関連法制についての概括を行ってきた。そこでは、海洋調査観測活動においても海峡への影響を配慮しながらの取り組みが法制度上でも要請されることを、うかがい知ることができる。そこでは、社会の倫理とルールを守る(コンプライアンス)ことが、海洋調査観測作業を行っていく上での最低の条件でもあることが容易に理解できる。

国の内外を問わず、すべての法律、国際ルールおよびその精神を遵守した上で海洋調査観測作業に取り組み、海洋を中心としたひとつのシステムとして環境に配慮した持続可能な社会の実現・社会経済活動の発展・国民生活の質の向上等に貢献していくのが使命であるといえよう。