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海洋地球研究船「みらい」大航海

SORAレポート

2009年2月6日 【1】

乗船研究者:平野直人(東北大学東北アジア研究センター)

盛夏のタヒチ(パペーテ港)を後に「みらい」は、南米チリへ向けて出航しました。これから1ヶ月半の日程をかけて、タヒチ周辺のフレンチポリネシア下のマントル構造の調査、南太平洋の中央海嶺の海底調査、チリ南部に沈み込む中央海嶺の調査など行います。また、表層海水や海域の大気の観測も常時行っています。


青い線が2月10日までのみらいの航跡
赤い線は今後予定されている航跡

フレンチポリネシアの調査ではこの海域の下のマントルに広がる南太平洋スーパープルームの実態を探ります。7カ所の海底に海底地震計と海底電位差磁力計をそれぞれ設置し、マントル内の地震波速度や電気伝導度を測定します。地震波は震源からマントルをはじめとした地下の岩石圏を通過して到達します。その地震波を解析することによって、周辺のマントルの構造(固い・柔らかい・冷たい・暖かいなど)を調べることができます。一方、電位差磁力計は、その場所の地下の磁場の変化を測定し、マントルの電気伝導度を見積もります。これらの観測によって、長い地球の歴史の中で流れるように振る舞うマントルの流動性や温度、物質の違いを見ることが出来ます。特にフレンチポリネシア下のマントルは、深部からの上昇流(スーパープルーム)が存在していて、世界的にも全地球の活発な動きと火山の関係を見る上でとても重要な場所です。

海底地震計を海底に設置する船上作業を行っている様子