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海域地震火山部門

研究者紹介

田村芳彦(Yoshihiko Tamura)

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海域地震火山部門
火山・地球内部研究センター


専門

火山学・岩石学

研究テーマ

  • マグマの成因の研究(マントルまたは地殻内部で、どのようにして、どんなマグマができるのか)
  • 海底火山の研究(海底火山がどのように成長して火山島となるのか。海底カルデラはどのような噴火で形成されるのか。)
  • 海洋地殻、大陸地殻、モホ面(地殻-マントル境界)の形成に関する研究(マグマが固まると地殻になるので、マグマの研究は地殻とモホ面の研究へとつながっていく)

職歴

2022年4月 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 海域地震火山部門 上席研究員(シニア)
2019年4月–2022年3月 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 海域地震火山部門, 専門部長
2017年4月-2019年3月 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 海洋掘削科学研究開発センター, グループリーダー
2011年4月 独立行政法人海洋研究開発機構,地球内部ダイナミクス領域 チームリーダー・上席研究員
2001年1月 海洋科学技術センター 固体地球統合フロンティア研究システム グループリーダー
1997年6月-2000年12月 金沢大学, 理学部, 助手
1995年4月–1997年5月 中核的研究機関研究員(岡山大学固体地球研究センター)

学歴

1991年3月 東京大学大学院理学系研究科地質学専攻博士課程修了(博士(理学))
1986年3月 東京大学理学部地学科卒業

主要論文

Y. Tamura, O. Ishizuka, T. Sato, A. R. L. Nichols (2018). Nishinoshima volcano in the Ogasawara Arc: New continent from the ocean? Island Arc DOI: 10.1111/iar.12285
西之島は海底火山であるが、その本体の海底部の溶岩を採取・分析して、西之島のマグマの成因を議論した。西之島の溶岩は安山岩質組成であるが、そのマグマはマントル由来の安山岩初生マグマが分化したものであることを明らかにした。海洋における安山岩の噴出は地球における大陸生成の鍵であることから、大陸の成因に言及した。

2017年噴火する西之島の夜景
2017年噴火する西之島の夜景(田村撮影)

Y. Tamura, T. Sato, T. Fujiwara, S. Kodaira, A. Nichols (2016). Advent of Continents: A New Hypothesis. Scientific Reports 6, 33517; doi: 10.1038/srep33517
46億年の歴史の中で地球の大陸はどのようにしてつくられたのか。地球にはもともと海しかなく、大陸は存在しなかった。大陸とは何だろうか。どのようにして海から大陸ができたのだろうか。この謎の解明には、海底火山から大陸を形成する安山岩マグマが生まれていることが重要となる。「地殻が薄いときのみ、大陸をつくる安山岩マグマを噴出する」というこれまでの常識を覆した仮説を提示した。

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Y. Tamura, O. Ishizuka, R. J. Stern ほか11名. (2014). Mission Immiscible: Distinct Subduction Components Generate Two Primary Magmas at Pagan Volcano, Mariana Arc. Journal of Petrology 55, 63-101.
マリアナのパガン火山はマリアナ弧で最大の火山であり、現在も活発な活動をおこなっている。沈み込み帯のマグマの成因を明らかにするため、JAMSTECの船と無人探査機ハイパードルフィンを用いて、海底の深海斜面(水深〜2,000 m)を調査し、陸上では噴出しない、初生マグマに近い溶岩を発見した。その溶岩を分析・解析して、島弧マグマのもとになる新しい知見を発表し、ミッション・イミッシブルと名付けた。

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Y. Tamura, O. Ishizuka, K. Aoike ほか13名 (2010). Missing Oligocene crust of the Izu-Bonin arc: consumed or rejuvenated during collision? Journal of Petrology 51, 823-846.
大陸の生成には、島弧と島弧の衝突による地殻の再編が必要である。丹沢地域は伊豆弧が本州弧に衝突している場所であり、そこでは丹沢かこう岩類が露出している。これらのかこう岩類はもともと伊豆弧の沈み込み帯の火成活動によって形成された安山岩(中部地殻)であることを新しいモデルによって明らかにした。

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著書など

深海と地球の事典(共著)(2014)
「4.2 海底火山/マグマ/巨大地震の震源地」について執筆) 海底火山とは何か、マグマとは何か、マグマはどのようにしてできるのか、を伊豆小笠原弧の地殻構造や東北日本のマントルの高温領域(ホットフィンガー)を紹介しながら解説した

熱い指(hot fingers)モデル
熱い指(hot fingers)モデル。火山の分布はマントルの中の高温領域が指状に分布していることに制御されている。熱い指の上に火山ができる。

ORCiD https://orcid.org/0000-0002-3705-7815