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海洋地球研究船「みらい」大航海

SORAレポート

2009年3月25日【2】

SORA2009最南端

海洋地球研究船「みらい」船長:赤嶺 正治

2009年3月25日の夜、今ミッション最南端の観測点であるドレイク海峡(南アメリカ最南端のホーン岬と南極大陸の南極半島の間にある海峡)のホーン岬沖に到着し、海底地形調査を開始しました。今回、この観測点へ至るには外洋もしくはフィヨルド内を航海する2通りのルートがありました。外洋は南極海から伝搬する大きなウネリと頻繁に東進する低気圧からの強風で、世界最大級の観測船である「みらい」でも、航海が難儀するほどです。一方、フィヨルド内では強風は吹きますが、外洋ほどではありません。また、ウネリはフィヨルドの独特の地形が防波堤の役をして殆ど進入しません。これらの点から、「みらい」は後者のフィヨルド内のルートを採用しました。
このフィヨルドは、フェグイノス水道のビーグルキャナルで、多くの氷河があるので有名です。世界の観光船がこの氷河を見るために訪れます。「みらい」は幸運にも、この氷河のある海域を日中航行することができ、またこの海域では珍しいほどの好天に恵まれ、素晴らしい氷河の数々(代表的な氷河には国名が付いています)を見ることができました。写真は、氷河が融け滝となって海面に落ちるフランス氷河と、その隣で氷河ごと海面に達するイタリア氷河です。当時の気温は6度程度でそれ程寒くありませんでした。


フランス氷河


船橋右舷からのぞくイタリア氷河

ホーン岬沖の観測海域は外洋です。西ないし南西から来る大きなウネリを避けるため、ホーン岬のある島の東方に観測海域が選ばれましたが、波は高く(船橋の波高計では、有義波高5.2mを示しています)、風は瞬間的には30m/sに達し、平均風速は25m/s(船長室の風速計は26.6m/sを示しています)、とまさに大時化の状態です。


船橋の波高計

船長室の風速計

当然、波に向かって走る時には、大波が船首を襲います。この大時化では、甲板上での観測作業はできませんが、これまで観測船が調査を行っていない空白の海域の海底地形調査(2月24日のレポート参照)を「みらい」は行っています。


船首の様子