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海洋地球研究船「みらい」大航海

SORAレポート

2009年3月26日

「作業艇」の活躍

海洋地球研究船「みらい」船長:赤嶺 正治

「みらい」では、当船搭載の『作業艇』(高波高の中、高速で走れるゴムボート。定員13名)を使った観測作業も多く実施されています。今回は、ドレイク海峡に面したクックバーンキャナルの入江において、Leg2最後の観測となる、「漂流型セジメントトラップ観測装置」を回収する際に作業艇が用いられました。漂流型セジメントトラップ観測とは、海中の沈降粒子(マリンスノー)を採取する容器を、海面に浮いたブイから海中へと伸びるロープに吊るし、約半日間、漂流させるものです。当然、海面ブイは風や流れによって思わぬところに漂流して行きます。今回この海面ブイが、「みらい」が接近できない浅瀬に近づいたので、海面ブイの回収にむけて、作業艇で海面ブイを「みらい」が接近できる海域まで曳航しました。


漂流型セジメントトラップ観測装置を曳航して、「みらい」の後を追う作業艇

作業艇上で指揮する井上観測士官(右)、 作業艇を操縦する工藤甲板次長(中央)、 見張りをする門澤甲板手(左奥)

当時、平均風速10m/sを超える風と1ノット(1時間に1,852m進む)の流れがありました。その厳しい自然条件下で、海中に吊るしたセジメントトラップを落下させないように慎重に、そして、ゆっくりと曳航する作業は、作業艇で作業する者にとっても、「みらい」でその作業を見守る者にとっても緊張の連続でした。


曳航している漂流型セジメントトラップ観測装置を監視する岡田甲板手

このセジメントトラップ装置全てが「みらい」船上に無事回収された時には、大きな拍手が沸きました。作業艇に乗り込んだ勇者は、井上治彦観測士官(一等航海士)、工藤和義甲板次長、門澤剛甲板手、岡田雅重甲板手、坊下伸夫操機手、そしてJAMSTECとの共同研究先であり、この装置の保有者であるチリ国コンセプシオン大学のジョワーニ教授の6名です。


任務を終えた作業艇を「みらい」に揚収する瞬間


作業艇から見た「みらい」