更新日:2020/06/12

公募研究

高解像度大気海洋結合領域モデルによる中緯度台風の気候変動応答メカニズム解明

研究代表者 金田幸恵# (名古屋大学・特任助教)
研究協力者
[学位:*海洋学,#気象学]

2017年においては台風第21号(Typhoon Lan)、続く2018年には台風第21号(Typhoon Jebi)、第24号(Typhoon Trami)、 そして2019年には台風15号(Typhoon Faxai)、19号(Typhoon Hagibis)と、日本はいまなお毎年のように台風の脅威に さらされ続けている。近年、地球温暖化により台風といった極端現象のさらなる激甚化が危惧されており、 これら日本に接近・通過して大きな被害をもたらす中緯度の台風が、温暖化気候下でどのように変質しうるか 明らかにする必要がある。日本周辺といった中緯度の海洋は、黒潮をはじめ特徴的な微細構造を持つ。 台風の発達プロセスにおいては暖かい海洋から供給される潜熱エネルギーがカギを握るが、一方で台風の通過にともなって 海面水温が低下する等、大気と海洋は密接に相互作用する。そこで、本研究課題では、高度な数値気象モデルに 精巧な海洋モデルを結合した最先端の高解像度領域大気海洋結合モデルCReSS-NHOESで数値シミュレーションを行い、 台風の発達に重要な内部過程のみならず、刻々と変化する台風の通過にともなう海洋応答を精巧に表現することで、 温暖化の進む気候系における中緯度台風の将来変化とそれにおける大気海洋相互作用の役割を解明する。

  1. 高解像度領域大気海洋結合モデルCReSS-NHOESを用いて、既往の中緯度顕著台風に対する 温暖化の影響を明らかにするとともに、台風の発達・衰弱プロセスに対する中緯度大気海洋結合作用の影響を定量的に評価する。
  2. 同モデルを用いて、さらに温暖化が進んだ気候下における中緯度台風の将来変化を明らかにする。 変動する気候下におかれた台風の発達・衰弱プロセスや、それに対する中緯度大気海洋結合作用の果たす役割を(i)と比較しつつ、 地球温暖化にともなう中緯度台風の気候変動応答メカニズムを解明する。