【目次】
▶ 大気と海は常にCO2を交換
▶ 詳細が不明だった北極海のCO2吸収量
▶ カギは、クロロフィルデータの追加
▶ 面積は小さいのに、たくさんCO2を吸収
▶ 安中さんは、できたての制度で走ってきた研究者!
高い志を持って研究を続けてきたと言うより、その時その場で、おもしろそうに感じた進路を選んできた結果、たまたま職がつながり、今に至ったと言った方がしっくりきます。
物理学への憧れと、地球環境問題への興味から、地球物理学を志しました。そして、気候変動の主役は海だと聞いて、海洋物理学の研究室に所属しました。就職難の時期だったこと、周囲でも進学する人が少なくなかったことから、将来への不安を感じつつも博士課程まで進んでしまいました。とはいえ、自分個人の名前で世界の人とつながれることは、大きな魅力でした。
私が大学院に進学した頃から、男女共同参画の名の下に、様々な支援制度が整備されてきました。学術振興会特別研究員の出産・育児に係る中断制度の利用、出産・育児による研究中断経験者のための学術振興会特別研究員-RPDへの応募など、できたてほやほやの制度を使わせていただきました。どれも、利用第1号であるか、それに限りなく近かったです。
これらの制度がなかったら、ものすごいストレスをためて仕事に没頭せざるをえなかったか、とっくに研究の道を諦めていたかだったように思います。今も楽しく研究を続けられているのは、家族の理解も含め、様々な幸運に恵まれたからこそです。
学生の頃は海面水温の長期変動の研究をしており、その後、海のCO2や栄養塩の研究を始めました。これまでに分野は少しずつ変わっていますが、手持ちのツールを使って扱うパラメータだけを変えた感じで、データ解析という部分ではずっと同じです。
「人に聞く」でしょうか。色々な機関で研究してきたので知り合いが増えて、人に頼りやすくなりました。